ここでは、Ubuntu 16.04LTS版の環境へ、OpenFOAM-4.1をソースからインストールします。情報が古いので,最新の情報が必要な方は,OpenFOAM配布元の情報を参考にしましょう。
[ENTER]とか[ESC]とか書いてあるのは、ENTERキーを押す、ESCキーを押すの意味です。それでは、端末をひとつ開いてください。

1.インストールディレクトリの作成

インストール先は、$HOME/OpenFOAMとします。はじめに、インストール先のディレクトリを作り、その中に移動します。

$ mkdir ~/OpenFOAM「ENTER]
$ cd ~/OpenFOAM[ENTER]

2.ソースファイルのダウンロード

配布元からソースファイルをダウンロードします。

$ wget -O - http://dl.openfoam.org/source/4-1 | tar xvz [ENTER]
$ wget -O - http://dl.openfoam.org/third-party/4-1 | tar xvz [ENTER]

これを実行すると、本家のopenfoam.orgから、OpenFOAM-4.1本体のソースパッケージと、OpenFOAMを使うのに必要となるプログラム群(サードパーティパッケージ)のソースパッケージがダウンロードされ、展開されます。

3.ディレクトリ名の変更

$HOME/OpenFOAMの中がどうなっているのか、確認してみましょう。

$ ls [ENTER]
OpenFOAM-4.x-version-4.1  ThirdParty-4.x-version-4.1
$

という2つのディレクトリができています。これを使用時の名前に変更します。名前の変更はmvコマンドですね。

$ mv OpenFOAM-4.x-version-4.1 OpenFOAM-4.1 [ENTER]
$ mv ThirdParty-4.x-version-4.1 ThirdParty-4.1 [ENTER]
$ ls [ENTER]
OpenFOAM-4.1  ThirdParty-4.1
$

4.ビルド環境の構築

さて、必要なソースの準備はできたので、続いてビルドするのに必要となるUbuntuのパッケージをインストールします。OpenFOAMのビルドに必要なパッケージからインストールしましょう。

$ sudo apt-get install build-essential flex bison git-core cmake zlib1g-dev libboost-system-dev libboost-thread-dev libopenmpi-dev openmpi-bin gnuplot libreadline-dev libncurses-dev libxt-dev [ENTER]

このコマンドを実行すると、ユーザーのパスワードを聞かれるので間違えないように入力しましょう。その後で[Y/n]と入力を促してきますので、気持よく[ENTER]を押して、Ubuntuパッケージのダウンロード・インストールが終わるのは待ってあげましょう。

続いて、サードパーティパッケージのビルドに必要はUbuntuパッケージをインストールします。

$ sudo apt-get install qt4-dev-tools libqt4-dev libqt4-opengl-dev freeglut3-dev libqtwebkit-dev scotch ptscotch libcgal-dev python-dev [ENTER]

上の作業に続いて実行すると、パスワードは聞かれません。[Y/n]の問い合わせに、これまた気持よく[ENTER]で答えてあげてください。

 5.ビルド・実行用環境変数の読み込み

 さて、ようやくビルドに必要なパッケージが揃いましたので、いよいよビルドを開始します。がその前に、ビルドを実行するのに必要な環境変数を読み込まなければなりません。

$ source $HOME/OpenFOAM/OpenFOAM-4.1/etc/bashrc
$

何も言わずに終わってしまいました。それでも裏ではしっかり仕事をしてくれています。envで確かめてみましょう。

$ env [ENTER]

すると、FOAMの文字がいろいろと入った情報が出てくると思います。これで、いよいよビルドが始めれます。

6.サードパーティパッケージのビルド

サードパッケージのビルドをするために、サードパーティパッケージのソースディレクトリに入りましょう。

$ cd ThirdParty-4.1 [ENTER]
$ 

いよいよビルド開始です。たぶんそこそこ時間がかかります。覚悟は良いですか?

$ ./Allwmake [ENTER]

続いて、ポスト処理用ソフトウェアのParaViewをビルドします。これは結構時間がかかります。

$ ./makeParaView -python -python-lib /usr/lib/x86_64-linux-gnu/libpython2.7.so.1 [ENTER]

さて、お茶でもしに行きましょうか。このビルドでありがたいのは、進捗状況を%表示してくれることでしょうか。まあ、とにかくしばらく待ちましょう。終わったら次のコマンドを打ってこの作業は終了です。

$ wmRefresh [ENTER]
$

7.OpenFOAM本体のビルド

ようやく本丸の登場です。OpenFOAM本体のビルドをやりましょう。

$ cd ../OpenFOAM-4.1 [ENTER]
$ ./Allwmake [ENTER]

 これまたとっても時間がかかります。こちらは進行状況が見えないので,そのうちに終わることを期待して,他の作業をしていた方が良いです。

8.とりあえずのテスト

ビルドが正常に終わったかどうかは,ビルドのメッセージの最後にエラーが出ていないかどうかで判断しましょう。特にエラーが出ていないようでしたら,とりあえず次のように打ってみてください。

$ icoFoam -help [ENTER]

Usage: icoFoam [OPTIONS]
options:
  -case <dir>       specify alternate case directory. default is the cwd
  -noFunctionObjects
                    do not excute functionObjects
  -parallel         run in parallel
  -roots <(dir1 .. dirN)>
                    slave root directories for distributed running
  -srcDoc           display source code in browser
  -doc              display application documentation in browser
  -help             print the usage

using: OpenFOAM-4.1 (see www.OpenFOAM.org)
Build: 4.1

$

このように表示されれば,とりあえずビルドは成功しています。

9.実行テスト

 最後に,実際の計算をさせて,問題ないかを確認しましょう。まず,計算用のディレクトリを作成します。

$ mkdir -p $FOAM_RUN [ENTER]
$

これで,計算用のディレクトリが作成されました。計算用のディレクトリは,「$HOME/OpenFOAM/<ログイン名>-4.1/run」です。次に,チュートリアルのデータを実行用ディレクトリにコピーします。

$ cd $FOAM_RUN [ENTER]
$ cp -r $FOAM_TUTORIALS/incompressible/simpleFoam/pitzDaily . [ENTER]
$ cd pitzDaily [ENTER]
$ blockMesh [ENTER]
/*---------------------------------------------------------------------------*\
| =========                 |                                                 |
| \\      /  F ield         | OpenFOAM: The Open Source CFD Toolbox           |
|  \\    /   O peration     | Version:  4.1                                   |
|   \\  /    A nd           | Web:      www.OpenFOAM.org                      |
|    \\/     M anipulation  |                                                 |
\*---------------------------------------------------------------------------*/
【中略】
  patch 0 (start: 24170 size: 30) name: inlet
  patch 1 (start: 24200 size: 57) name: outlet
  patch 2 (start: 24257 size: 223) name: upperWall
  patch 3 (start: 24480 size: 250) name: lowerWall
  patch 4 (start: 24730 size: 24450) name: frontAndBack

End

$ simpleFoam [ENTER]
/*---------------------------------------------------------------------------*\
| =========                 |                                                 |
| \\      /  F ield         | OpenFOAM: The Open Source CFD Toolbox           |
|  \\    /   O peration     | Version:  4.1                                   |
|   \\  /    A nd           | Web:      www.OpenFOAM.org                      |
|    \\/     M anipulation  |                                                 |
\*---------------------------------------------------------------------------*/
Build  : 4.1
Exec   : simpleFoam
【中略】
SIMPLE solution converged in 298 iterations

streamLine streamlines write:
    seeded 10 particles
    Tracks:10
    Total samples:10809
    Writing data to "/home/tornado/OpenFOAM/tornado-4.1/run/pitzDaily/postProcessing/sets/streamlines/298"
End

$ paraFoam [ENTER]

paraFoamの使い方については,また別の機会に…。とりあえず,最初に左側の「Apply」を押せば,データを読み込みます。そして,"vtkBlockColors"となっているところを"U"でも選び,"▶|"ボタンを押せば,なんか綺麗な絵が出るはずです。終わり方は,[CTRL]+[Q]です。

10.よく使う環境用の設定

OpenFOAMを実行する際には,

$ source $HOME/OpenFOAM/OpenFOAM-4.1/etc/bashrc [ENTER]
$

と実行する必要があります。ただ,頻繁にOpenFOAMを使う場合,この作業は鬱陶しい限りです。なので,端末が開く最初に上の命令を実行させると幸せになれます。以下のコマンドを実行してください。

$ gedit $HOME/.bashrc & [ENTER]
$

そして,開いたエディターで,最後の行に,

source $HOME/OpenFOAM/OpenFOAM-4.1/etc/bashrc

を追加すれば,次から端末を開くと自動的にOpenFOAMの実行環境が設定されるようになります。

ここでは、Ubuntu 20.04LTS版の環境へ、OpenFOAM-9をソースからインストールします。情報が古いので,最新の情報が必要な方は,OpenFOAM配布元の情報を参考にしましょう。
[ENTER]とか[ESC]とか書いてあるのは、ENTERキーを押す、ESCキーを押すの意味です。それでは、端末をひとつ開いてください。

1.インストールディレクトリの作成

インストール先は、$HOME/OpenFOAMとします。はじめに、インストール先のディレクトリを作り、その中に移動します。

$ mkdir ~/OpenFOAM「ENTER]
$ cd ~/OpenFOAM[ENTER]

2.ソースファイルのダウンロード

配布元からソースファイルをダウンロードします。

$ wget -O - http://dl.openfoam.org/source/9 | tar xvz [ENTER]
$ wget -O - http://dl.openfoam.org/third-party/9 | tar xvz [ENTER]

これを実行すると、本家のopenfoam.orgから、OpenFOAM-9本体のソースパッケージと、OpenFOAMを使うのに必要となるプログラム群(サードパーティパッケージ)のソースパッケージがダウンロードされ、展開されます。

3.ディレクトリ名の変更

$HOME/OpenFOAMの中がどうなっているのか、確認してみましょう。

$ ls [ENTER]
OpenFOAM-9-version-9  ThirdParty-9-version-9
$

という2つのディレクトリができています。これを使用時の名前に変更します。名前の変更はmvコマンドですね。

$ mv OpenFOAM-9-version-9 OpenFOAM-9 [ENTER]
$ mv ThirdParty-9-version-9 ThirdParty-9 [ENTER]
$ ls [ENTER]
OpenFOAM-9  ThirdParty-9
$

4.ビルド環境の構築

さて、必要なソースの準備はできたので、続いてビルドするのに必要となるUbuntuのパッケージをインストールします。OpenFOAMのビルドに必要なパッケージからインストールしましょう。

$ sudo apt install build-essential cmake git ca-certificates flex libfl-dev bison zlib1g-dev libboost-system-dev libboost-thread-dev libopenmpi-dev openmpi-bin gnuplot libreadline-dev libncurses-dev libxt-dev [ENTER]

このコマンドを実行すると、ユーザーのパスワードを聞かれるので間違えないように入力しましょう。その後で[Y/n]と入力を促してきますので、気持よく[ENTER]を押して、Ubuntuパッケージのダウンロード・インストールが終わるのは待ってあげましょう。

続いて、サードパーティパッケージのビルドに必要はUbuntuパッケージをインストールします。

$ sudo apt-get install libqt5x11extras5-dev libxt-dev qt5-default qttools5-dev curl scotch ptscotch libcgal-dev python-dev [ENTER]

上の作業に続いて実行すると、パスワードは聞かれません。[Y/n]の問い合わせに、これまた気持よく[ENTER]で答えてあげてください。

 5.ビルド・実行用環境変数の読み込み

 さて、ようやくビルドに必要なパッケージが揃いましたので、いよいよビルドを開始します。がその前に、ビルドを実行するのに必要な環境変数を読み込まなければなりません。

$ source $HOME/OpenFOAM/OpenFOAM-9/etc/bashrc
$

何も言わずに終わってしまいました。それでも裏ではしっかり仕事をしてくれています。envで確かめてみましょう。

$ env [ENTER]

すると、FOAMの文字がいろいろと入った情報が出てくると思います。これで、いよいよビルドが始めれます。

6.サードパーティパッケージのビルド

サードパッケージのビルドをするために、サードパーティパッケージのソースディレクトリに入りましょう。

$ cd ThirdParty-9 [ENTER]
$ 

いよいよビルド開始です。たぶんそこそこ時間がかかります。覚悟は良いですか?

$ ./Allwmake [ENTER]

続いて、ポスト処理用ソフトウェアのParaViewをビルドします。これは結構時間がかかります。

$ ./makeParaView -python -python-lib /usr/lib/x86_64-linux-gnu/libpython2.7.so.1 [ENTER]

さて、お茶でもしに行きましょうか。このビルドでありがたいのは、進捗状況を%表示してくれることでしょうか。まあ、とにかくしばらく待ちましょう。終わったら次のコマンドを打ってこの作業は終了です。

$ wmRefresh [ENTER]
$

7.OpenFOAM本体のビルド

ようやく本丸の登場です。OpenFOAM本体のビルドをやりましょう。

$ cd ../OpenFOAM-9 [ENTER]
$ ./Allwmake [ENTER]

 これまたとっても時間がかかります。こちらは進行状況が見えないので,そのうちに終わることを期待して,他の作業をしていた方が良いです。

8.とりあえずのテスト

ビルドが正常に終わったかどうかは,ビルドのメッセージの最後にエラーが出ていないかどうかで判断しましょう。特にエラーが出ていないようでしたら,とりあえず次のように打ってみてください。

$ icoFoam -help [ENTER]

Usage: icoFoam [OPTIONS]
options:
  -case <dir>       specify alternate case directory. default is the cwd
  -noFunctionObjects
                    do not excute functionObjects
  -parallel         run in parallel
  -roots <(dir1 .. dirN)>
                    slave root directories for distributed running
  -srcDoc           display source code in browser
  -doc              display application documentation in browser
  -help             print the usage

using: OpenFOAM-9 (see www.OpenFOAM.org)
Build: 9

$

このように表示されれば,とりあえずビルドは成功しています。

9.実行テスト

 最後に,実際の計算をさせて,問題ないかを確認しましょう。まず,計算用のディレクトリを作成します。

$ mkdir -p $FOAM_RUN [ENTER]
$

これで,計算用のディレクトリが作成されました。計算用のディレクトリは,「$HOME/OpenFOAM/<ログイン名>-9/run」です。次に,チュートリアルのデータを実行用ディレクトリにコピーします。

$ cd $FOAM_RUN [ENTER]
$ cp -r $FOAM_TUTORIALS/incompressible/simpleFoam/pitzDaily . [ENTER]
$ cd pitzDaily [ENTER]
$ blockMesh [ENTER]
/*---------------------------------------------------------------------------*\
| =========                 |                                                 |
| \\      /  F ield         | OpenFOAM: The Open Source CFD Toolbox           |
|  \\    /   O peration     | Version:  9                                     |
|   \\  /    A nd           | Web:      www.OpenFOAM.org                      |
|    \\/     M anipulation  |                                                 |
\*---------------------------------------------------------------------------*/
【中略】
  patch 0 (start: 24170 size: 30) name: inlet
  patch 1 (start: 24200 size: 57) name: outlet
  patch 2 (start: 24257 size: 223) name: upperWall
  patch 3 (start: 24480 size: 250) name: lowerWall
  patch 4 (start: 24730 size: 24450) name: frontAndBack

End

$ simpleFoam [ENTER]
/*---------------------------------------------------------------------------*\
| =========                 |                                                 |
| \\      /  F ield         | OpenFOAM: The Open Source CFD Toolbox           |
|  \\    /   O peration     | Version:  9                                     |
|   \\  /    A nd           | Web:      www.OpenFOAM.org                      |
|    \\/     M anipulation  |                                                 |
\*---------------------------------------------------------------------------*/
Build  : 9
Exec   : simpleFoam
【中略】
SIMPLE solution converged in 298 iterations

streamLine streamlines write:
    seeded 10 particles
    Tracks:10
    Total samples:10809
    Writing data to "/home/tornado/OpenFOAM/tornado-4.1/run/pitzDaily/postProcessing/sets/streamlines/298"
End

$ paraFoam [ENTER]

paraFoamの使い方については,また別の機会に…。とりあえず,最初に左側の「Apply」を押せば,データを読み込みます。そして,"vtkBlockColors"となっているところを"U"でも選び,"▶|"ボタンを押せば,なんか綺麗な絵が出るはずです。終わり方は,[CTRL]+[Q]です。

10.よく使う環境用の設定

OpenFOAMを実行する際には,

$ source $HOME/OpenFOAM/OpenFOAM-9/etc/bashrc [ENTER]
$

と実行する必要があります。ただ,頻繁にOpenFOAMを使う場合,この作業は鬱陶しい限りです。なので,端末が開く最初に上の命令を実行させると幸せになれます。以下のコマンドを実行してください。

$ gedit $HOME/.bashrc & [ENTER]
$

そして,開いたエディターで,最後の行に,

source $HOME/OpenFOAM/OpenFOAM-9/etc/bashrc

を追加すれば,次から端末を開くと自動的にOpenFOAMの実行環境が設定されるようになります。